はじめに
私は家で宅鯖を運用しておりその中で仮想マシンやコンテナを構築しているのですが、最近とある事情から1もう一台欲しいと思いました。
とはいえ、予算には限りがあるので、VMを何台も立てるだけのスペックを持たせつつ、値段は極力抑える方向性で組んでみることにします。
なお、私の自作PC歴は約7年ほどでこれまでに3台ほど組んだことがあり多少は慣れている・できるだけ早く投入したいということもあり、パーツ選びは結構適当です。
コンセプト
今回自作PCをする上でのコンセプトは、
- 合計16スレッド・32GBメモリを搭載すること
- 立てたいVMの数を考えてこれくらいのスペックとしました
- GPUはいらない
- 価格はできるだけ抑えて5~8万円程度に収める
- 見た目は気にしないが大きすぎないようにしたい
- OSは当然Linux
というものになります。
このご時世に自作PCを組む場合ほぼ全員がゲーミング用途と邪推していますが、そうすると必然的にGPUが必要になります。 しばらくGPUの価格を見ていなかったのですが、今回改めて調べてみるとGPUは非常に高いですね..
画像はモンハンワイルズの公式推奨環境(高画質)ですが、ここで挙げられているパーツのうちGPU単体で5万円以上してしまいます。
GPUだけで予算をほぼ使い切ってしまうこともあり、GPUを使ったアプリケーションや生成AIワークロードを動かす予定は今のところないので今回はGPUを搭載しないことにします。
パーツ選定
以上のようなコンセプトを元に最終的には表のパーツを選定しました。 全部合わせて77,447円だったのでなんとか予算内に収めることができました。
カテゴリ | パーツ | 購入価格 |
---|---|---|
CPU | AMD Ryzen7 8700G | 40,180円 |
マザーボード | ASUS PRIME B650M-A II-CSM | 12,480円 |
メモリ | CFD W5U5600CS-16G | 11,283円 |
電源 | 玄人志向 KRPW-L5-400W/80+/REV2.0 | 4,580円 |
SSD | Crucial CT500BX500SSD1 | 5,380円 |
ケース | Thermaltake Versa H17 | 3,544円 |
それぞれの選定理由を以下に書いていきますが、興味がなかったら組み立てまで飛ばしてください。
CPU
今まで私が組んできたPCはいずれもIntelを選んできましたが、以前からAMDに興味があったのとコスパが高い印象を持っていたので今回初めてAMDを採用しました。 ソケットが最新世代で刷新されたIntelとは違い、AMDは今後しばらくはAM5ソケットを継続するようなので、将来のアップグレードも考慮してAM5ソケットから選んでいます。
価格の割にスレッド数が多いこと、定格消費電力が65Wと低いこと、内臓GPUが搭載されていることが決め手です。
消費電力が低くリテールクーラーがついているので、改めてクーラーを買うことはしませんでした。
マザーボード
AM5ソケット対応のMicroATX規格で、将来のCPU感想の可能性を考慮してより高消費電力のCPUにも対応している製品を選びました。
最近のマザーボードは放っておくと光り始めたりWiFiがついていたりと余計な機能がついていることが多いですが、質実剛健な製品です。 さらにこの価格帯で2.5GbEがついているのも魅力的でした。
メモリ
2枚差しで32GBの中で安価な製品を選びました。
DDR5の中でも速度によって複数の規格がありますが、特にこだわりがないので最もスタンダードと思われる5600Mhzの製品を選びました。
電源
今回一番思い切った選定をしたのが電源です。 GPUがなくCPUも低消費電力なので3,400Wもあれば十分だろうと考えたのですが、このワット帯だとそもそも選択肢が少ないです。 仕方なく80Plus STANDARDのしかも玄人志向の製品を選びました。
よく「電源はケチるな」と言われますが、我が家の自作PC達は24/365運用を数年続けているもののこれまで電源系のトラブルに遭遇しておらずまぁ大丈夫だろうと考えています2 3。
ゲーミングの興隆に伴い、電源も大容量化が進んでいるようです。
SSD
M.2でも良かったのですができるだけ安くということで2.5インチSSDとしました。 それ以外も特にこだわりはないので、何個か買った経験のあるCrucialを選びました。
ケース
MicroATXのケースで安価かつある程度信頼できそうなメーカーを選びました。 光らせる予定もないので中身も見える必要はないです。
組み立て
選定したパーツは楽天セールのタイミングで(ポイント還元を活かすためにショップは散らして)購入し、お盆だったにもかかわらず頼んだ2日後には全てのパーツが届きました4。 早速組んでいきましょう。
まずはケースに電源を取り付けます。 電源はケース下部につけるタイプで、ディスク類は裏側に取り付けるようになっているようです。
電源はさすが玄人志向というだけあって金属そのままの筐体にチープなカラフルなケーブルがそのまま生えています。
今までの電源はCorsairを使っていたので、モジュラー・黒皮膜のケーブルが当たり前と思っていましたが、これもまた一興。
ケースのスリットと電源のファンの合うように上下を気をつけながらネジを締めて取り付けは終了です。
次にマザーボードへの部品取り付けを行います。
マザーボードは黒基調のシンプルなデザインでよいですね。
CPUは本体とリテールクーラーとさらにはシールもついていました。
インテルでもADMでも、マザボの枠をカポッとあけCPUの向きを合わせてはめ込んだのちにしっかりとロックをかければ簡単に取り付けられます。
リテールクーラーにはすでにグリスが塗られているのでそのまま取り付ければOKです5。
メモリはマザボの記載に従って、爪を起こしてから取り付けるべきスロットに気をつけて差します。
向きがあるので切り欠きを目安にして間違えないように差し込んだら完了です。
M.2 SSDがある場合にはこの時点で取り付けるのが良いですが今回はないのでケースに取り付けていきます。
あらかじめケースにネジ穴台を取り付けたのち、バックパネルをはめ込んでネジを締めていきます(撮るのを忘れたので画像はなし)。 個人的にはバックパネルの取り付けが苦手で、何回かやり直したりしてようやく完了です5。
次にディスク類を取り付けていきます。 電源についているSATA用電源ケーブルは1本で3ポートついているタイプだったため、SSD(と家に転がっていたHDD)を密集させて配置せざるを得ず、裏側はごちゃごちゃしてしまっていますが、見える部分ではないので特に気にしません。
最後にマザボへの電源ケーブル取り付けや、ケースの各種ケーブルをマザボに取り付けていきます。 基本的には説明書に従って取り付けていくだけで、無理な取り付け方をすることはコネクタの形状的にできないようになっているので初心者でも特に問題なく取り付けられると思います。
ただし、今回少しひやっとしたのが、マザボの補助電源が8ピンであるのに対して、電源側からは4ピンしか出ていなかったことです。 もしかして安物買いの銭失いでパーツ買い替えか?とも思いましたが、色々調べてみるとこのコネクタはオーバークロック用のもので4ピンでも問題なく動くとのことでした。 少し怖いですが、このまま4ピンだけで動かしてみることにします。
参考
組み立て完了したので電源を入れてみます。 初期不良があったりパーツの相性がよくないとここで画面がつかずということもあるようですが、今回は特に問題なく画面が表示されメモリやCPUの情報も正しく認識されているようです。
OSインストール
OSは、Ubuntu Server 24.04.3 LTSをインストールしました。 基本的にはデフォルトでインストールし、SSHの設定だけをウィザード画面で行いました。
SSHで入れるようになったら画面やキーボードを取り外し、邪魔にならないところに配置したら全部の作業は完了です6。
感想
今回は数年振りに自作PCを組み、かつ初めてAMDのCPUを採用しました。 特にインテルと比べて大きな違いはなく、スムーズに組み立てることができました(電源をつけるところまでおよそ2時間くらいの所要時間でした)。
予算にもおさめることができ満足のいく自作PCが組めたと思います。
Footnotes
-
自作PC2台・NAS1台による高可用性クラスタがすでに構築されているのですが、開発・サンドボックス用途に常設のVM母艦が欲しくなったという事情です ↩
-
そもそも電源以前に初期不良・故障に遭遇したことがないです ↩
-
今までの電源は80PlusGOLDクラスなので今回壊れたら「電源はケチるな」派に鞍替えするかも ↩
-
早く届いてくれる分にはありがたいことですが、この背後には酷暑の中パンク寸前になっている流通業界の人々がいることを忘れてはいけません。感謝 ↩
-
最初からバックパネルをケースにはめ込むようにしたところうまくマザボがはまらず、マザボにあてがってからバックパネルをつけたところ今度はバックパネルをケースにはめ込むのがやりにくくなりました。 ↩ ↩2
-
これ以降の作業はAnsibleやterraformを使って構築できるようになっているのでコマンド一発でVMやコンテナを起動しました ↩