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宅鯖のすゝめ

2025-09-07

連載「俺の宅鯖」について

はじめましての方ははじめまして、Kotaro7750と申します。 急ですがこのブログで「俺の宅鯖」という連載を始めました。 この記事は記念すべき第一回目です。

この連載は、私の家で絶賛運用中の宅鯖(自宅サーバー)について、構成やその中で使われている技術について紹介していくものです。 これまでの記事でも個別技術についての紹介という形で記事を書いてきましたが、そういえば宅鯖全体についてをまとめたことはなかったなと思い、今回の連載を始めることにしました。

大きなモチベーションとしては、宅鯖といえど結構高度な技術・構成を使っているにもかかわらず特に外部に発信をしていたわけではなかったので、勿体無いなと思ったことにあります。 詳しくは後述・今後の連載で触れていく予定ですが、我が家の宅鯖は物理マシン4台・仮想マシン10台以上が稼働しており、高可用性k8sクラスタやIaC・CI/CDを駆使しています。 技術的にも面白いものが多いのでどんどん紹介していきたいと思っています。

また、その他にも最近宅鯖についてリアルの知り合いから聞かれることが増えて、興味を持ってくれた人のためにもどんなことをしているのかを形に残しておきたいなと思ったこともあります。

モチベーションは以上のような感じですが、元々投稿頻度が高いわけではなく細々とやっているブログなので、不定期という形で続けていけたらなと思っています。

宅鯖とは?

Wikipedia曰く宅鯖(自宅サーバー)とは、

自宅に設置されたサーバのことであり、インターネットに公開しWebサーバなどのサービスを運用したり、家庭内LAN(ある種のイントラネット)で自宅内の機器を管理するのに使われる。個人が趣味で運用することが多い。

これ以上でも以下でもなく、「自宅に置かれたサーバー」のことです。

と、突き放してもわかりにくいので、いくつか例をあげると、

  • NASでファイルサーバーを立てた
  • マイクラサーバーを立てて友達と遊んでいる

これらは立派な宅鯖です。 技術的にどんなものを使っていたとしても、自宅にサーバーソフトウェアが稼働しているマシンがあればそれは宅鯖です。

定義をしたところで、「宅鯖のすゝめ」というタイトルの通り、宅鯖の良いところについて(≒私がなぜ宅鯖をしているのか?)について紹介していきます。

宅鯖のすゝめ その1:サブスクを減らせる

最近はサービスが便利になりましたが、その代償として(?)買い切りではなくサブスクを採用するサービスが増えたように感じます。

有名どころではAmazon PrimeやNetflixなどの動画サービス、Google Driveなどのストレージサービス、エンジニア向けとしてはObsidianやNotionなどのメモアプリなどが挙げられます。 一つ一つはお手頃ですが、多数使っていると実は家計を圧迫しているなんて経験がある方も多いのではないでしょうか?

宅鯖を使うことで、

  • 録画サーバーによって動画サービスに頼る必要が減る1
  • ファイルサーバーを立てることでTBクラスのストレージを確保できる
  • Obsidian用DBサーバーを立てることで無料でクロスデバイスのメモを実現できる

といったメリットがあります。

宅鯖のすゝめ その2:勉強になる

エンジニアをやっていく上では技術へのキャッチアップは必須ですが、業務で使っていない技術はどうしても疎くなりがちです。 宅鯖を運用することで、様々なレイヤの技術に触れることができ、しかも実際に手を動かして学ぶことができます。

例えば私は宅鯖を運用することで、

  • Linuxの基礎知識
  • ネットワークの理論・設計(IPAのネットワークスペシャリスト試験も比較的楽に取れました)
  • KVM・Kubernetesなどの仮想化技術(CKAを持っています)
  • Ansible・TerraformなどのIaC

といった技術を学ぶことができました。

趣味レベルでしょ?と思う方もいるかもしれませんが、方式の検討から設計・構築・運用の全てを自分で行う必要があるため、業務とはまた違った質の経験が詰めると考えています。

…と、ここまでで宅鯖の良いところを紹介してきましたが、もちろんデメリットもあります。

ここがダメだよ!宅鯖 その1:コスパ・タイパは悪い

早速メリットの1つ目と矛盾するような内容ですが、色々なサブスクの必要がなくなるとはいえ、単純な機能面でみると宅鯖のコスト・労力はどうしてもかさみます。

例えば、いざ録画サーバーを立てようとするとマシンやチューナー・ディスク等で5万円以上はかかります。 さらにそこから安定運用するために自分の時間を割く必要があります。 一方でAmazon Primeで動画をみるようにすると、月数千円程度ですみ特に何もしなくても安定して動画が見られます。

このように、大規模な事業者が提供するサービスと比べると当たり前ですがメリットは薄くなります。2

ここがダメだよ!宅鯖 その2:全てが自己責任

勉強になるというメリットの裏返しですが、宅鯖では起こることが全て自己責任なため何かトラブルが起こったとしても助けてくれる人はいません。

例えば私の家ではDNSキャッシュサーバーを運用しているのですが、そのサーバーが落ちたことによって家中でインターネットに繋がらなくなったことがあります。 また、録画サーバーの設定不備によって録画のノイズが多発したこともありました。

ただ、こういったトラブルを解決する過程で技術的に幅が広がることもありますし、そういったトラブルを経験することで設計時に可用性・耐障害性を意識できるようになるなど恩恵もあると考えています。

少しふわっとした話が続きましたが、最後に我が家の宅鯖がどのような構成になっているのかを紹介して終わりにしたいと思います。

我が家の宅鯖世界地図

細かい部分は今後の連載で紹介していく予定ですが、宅鯖の全体像をざっくりと紹介します。 ただし完全な1枚絵にすると情報量が多すぎるのでトピック別に分けて紹介します。

まずはネットワーク部分について、WiFiも含めてVLANを使おうとした結果、業務用の機械を全面的に導入することになりました。 それ以外はシンプルな構成ですが、各VLANにサブネットを分けたIPv6アドレスを割り振るために/56のプレフィックスがもらえるひかり電話オプションをつけて光ファイバーをマンションの部屋まで引き込んでいます。 この構成ができるように物件やプロバイダーをかなり頑張って調査して選びました。

ネットワーク部分

また、物理マシンは自作PC3台、SynologyのNAS1台の合計4台を運用しています。3 これらのマシンは仮想マシン・コンテナの母艦として使っており、NASはそれに加えてNFSサーバーとして使っています。

NASを含む3台は本番環境として高可用性クラスタを構成しており、残りの1台は開発環境として使っています。 宅鯖に本番も開発もあるのかと思うかもしれませんが、最悪壊しても構わずスクラップビルドできる場所があることで、より自信を持って運用ができており非常に助かっています。

本番環境用物理マシン 自作PCたち NAS・ネットワーク機器(下には使われていないYAMAHAルーターがある) NAS・ネットワーク機器

仮想環境は物理マシン上のKVM・Dockerとk8sを組み合わせて構築しています。4 基本的なワークロードは物理マシン3台にまたがった高可用性k8sクラスタ上で動いており、DNSやKMS(Hashicorp Vault)などのk8sが依存するワークロードはDockerコンテナで動かしています。

Packer・Ansible・Terraformを駆使したIaCで構築しており、k8sの構築・アップグレードに関しても極力自動化ができるようにしています。

仮想環境部分

以上が我が家の宅鯖の全体像になります。 この連載では、各構成要素についてより詳しく紹介していく予定です。

まとめ

この記事では、「俺の宅鯖」という連載の第一回目として、宅鯖の良いところ・悪いところを紹介した上で、我が家の宅鯖の全体像をざっくりと紹介しました。 この記事を見て「宅鯖やってみよう」という方は少ないと思いますが、興味を持っていただけたらぜひ次回も読んでいただけると嬉しいです。

特に決めているわけではないですが、次回は我が家の宅鯖のネットワーク構成についてより詳しく紹介したいと思っています。

Footnotes

  1. 主に深夜アニメを録画しているので、地上波の録画で十分です ↩

  2. 個人的にはサブスクが嫌いなので、最終的なコストが多少上がったとしてもサブスクを回避できる方が良いと考えています。 ↩

  3. これとは別で非サーバー用途のデスクトップPCがあるため、我が家には合計5台の据え置きPCがあることになります。 ↩

  4. 仮想マシンの台数が異なるのは、各物理マシンのスペックが異なるためです。 ↩

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